ニュース

5月20日(土)『いぎなり東北産 全国絶対に負けないツアー』@LINE CUBE SHIBUYA ライブレポート掲載!

2023年2月の地元・仙台からスタートさせた春ツアー『いぎなり東北産 全国絶対に負けないツアー』が、5月19日と20日に渋谷のLINE CUBE SHIBUYAでの2Daysをもってファイナルを迎えた。チケットソールドアウトとなった最終日、いぎなり東北産は、話題の新曲「わざとあざとエキスパート」や「負けないうた」、最終日にして初披露となった「NIWAKA」など、2時間にわたって全25曲を披露。渋谷の街にファンの歓喜の声を轟かせた。

これまで全国11か所で“絶対に負けない”ステージを繰り広げてきた9人。彼女たちがたどり着いた11か所21公演目にしてツアーの最終目的地となったのは、東京・渋谷。LINE CUBE SHIBUYAのホール内に足を踏み入れると、開演までの時間、壁面にはいぎなり東北産のロゴが投影され、メンバーセレクトの「負けないBGM」と野球好きのマネージャーによるBGMが流されている。時として客席からは曲に合わせて手拍子が起き、なんだかまるで、今から野球の試合でも始まるかのようだった。

そしていよいよ開演時間を迎える。客電が消えて暗転したホールで、茜色に染まったステージに配置されたショーケースのような6台のボックスのセットにスポットライトが当たり、いぎなり東北産、堂々推参。笛や三味線の音色がグルーヴを生む和テイストのアップチューン「HANA」からライブはスタートする。最終日ということで、これまでのどの公演よりもメンバーの気合いは十分。“自分たちに向けられる客席からの声援にすらも絶対に負けない”という気迫が、ステージに降り立った彼女たちの一挙一動からヒシヒシと伝わってくる。

伊達花彩のシャウトがホールを切り裂けば、オーディエンスひとりひとりの手に握られた色とりどりのペンライトも激しく回される「Burnin’ Heart」に「スズメDANCE」。ステージに設置されたLEDパネルと、いくつもの照明の筋が空間を埋めるホールならではの演出。メンバーからの激しい煽りと、それに応える客席からの熱いコールによって、ライブは序盤ながらも最高潮に達したかのような盛り上がりだ。そして福岡公演で初披露され、自動車教習所で見せられる教習ビデオのアイキャッチを意識したSEが不自然なほどに使われている『曲振り教習ビデオ』も公開中の「どっち?こっち?どうすっぺ!」で、フロアはお祭り騒ぎ状態へと発展する。観客の心拍数を強制的に早くするようなアッパーな曲を冒頭から放ち続けるいぎなり東北産は、どこまで会場のボルテージを引き上げ続けるつもりなのか。

「律月ひかるを超えて、律月“ひかりすぎ”になりたい。」「私の青春はここ。ここがうちらのアナザースカイ」「地球に感謝しましょう。地球大好き!」などなど、個性的なメンバーたちの、個性的な挨拶を経て、今度は“負けない”をテーマにしたブロックへ。このブロックは、いぎなり東北産の楽曲群から人間の4つの感情すなわち喜怒哀楽をイメージした曲たちを、同じく4つの感情を表現したメンバーのソロダンスでつなぐことにより、怒涛の10曲ノンストップという構成になっている。

本ブロック最初の曲となった「テキーナ」での「ねえねえ、好き。……ううん、大好き!」の台詞で、ステージ上のメンバーにも客席側にも体中の血液が一気に沸騰するような興奮と衝撃を与えた吉瀬真珠。ソロダンスでは、長い髪を揺らしながらキュートにハートマークを作ってみせる。一方、少しはにかみながらのダンスを披露した律月ひかるは、どこからどう見ても魔法少女でしかない。黄色のライトを浴びてドラマティックにイケメンに魅せた安杜羽加。藤谷美海のパフォーマンスには、彼女が普段から見せている面白キャラ“ラッキー藤谷”の姿はなく、クールに背中で魅了する。橘花怜のソロパフォーマンスは、真紅の光の中で動きにメリハリをつけながらも、怒りという感情の表現という意味合いもあり、彼女のトレードマークともいえる笑顔は一切なし。そして、本ツアー中にイメージチェンジした桜ひなのが流行りのボブを揺らしながら踊れば、絶望から立ち上がる強さとしなやかさを伊達花彩が描く。葉月結菜は“仲間”の存在を感じさせるパフォーマンス。そしてソロダンスのラストは北美梨寧。名は体を表す。紫の光に照らされて、彼女はしなやかに、美しいダンスで観客の視線を独り占めしていた。

一方、本ブロックを構成した楽曲では、会場を埋めたマッチョメンたちからの「C!E!O!」コールが空気を震わせる「シャチョサン」に、「いぎなりなら手を叩こう」と律月ひかるに促されてクラップが発生する「Action!」。観客総ジャンプ状態に突入した「Fly Out」では、クラブを思わせるような目まぐるしいライトによってカオティックな空間が生まれた。さらに紫の光の束とLEDのパネルを効果的に用いた「HiGHER,HiGHER!!」に、真っ赤に染まったステージで、桜ひなのの圧倒的なボーカルが空気を振動させる「メタハンマー」。そうかと思えば、9人が1列になって感情をぶつけるように歌い上げる「I decided」と、モノクロの世界の中で9人ひとりひとりの歌声が幾重にも重なり合う「Symphony」。激しいだけではない、楽しいだけではない、はちゃめちゃなだけではない、ちゃんと歌と向き合い、歌を届けることができるいぎなり東北産の完全なるハーモニーは、波紋のようにこのホール全体へと広がり、客席を心地よさで満たしていった。

「今までは(ひたすらに盛り上がる曲を並べる)パワープレイでライブをやってきたが、今回のツアーは演出がたくさんついて、“魅せる”ライブだったので、私たちも難しかった。」とメンバーたちが語っていたとおり、これまでのいぎなり東北産のライブではあまり経験したことがない、まるでひとつの物語を観ているような40分間。誰しもがいぎなり東北産に心を鷲掴みにされ、視線は釘付けにされ、そして彼女たちの歌声に心を奪われる。そんなノンストップを締めは、前日、東京公演1日目に初披露されたばかりの新曲「結び」。希望に溢れた歌詞がステージ上手と下手に用意されたLEDに映し出されて、晴れやかな表情でメンバーが声を合わせると、観客からは喝采というにふさわしい、惜しみない拍手が送られた。

気づけばライブも後半戦。ここからは、ライブでひときわ映える盛り上がり曲が並ぶ。口火を切ったのは、先日TikTok月間楽曲ランキング第1位となった「わざとあざとエキスパート」。いぎなり東北産の可愛い部分にスポットを当てたこの曲が始まると、一段とコールが大きくなるとともに、この日、関係者席に陣取っていた、メンバーとゆかりのあるアイドルやタレントたちを含めて、客席の至るところで振りコピする人たちが続出。SNSを席巻している楽曲の影響力の凄まじさを見せつける。

さらに「青春修学旅行」のピコピコサウンドが始まると「みんな踊る準備はできてるか!」と葉月結菜が客席に呼びかける。同曲といえば、2023年3月の『IDORISE!! FESTIVAL 2023』において復活した“枕投げ”を筆頭に、曲中でバラエティーに富んだ企画が行なわれるのがお約束。今回は、ステージ上で行なわれたくじ引きにより、「橘花怜が、最大級にあざと可愛くみなさんに告白」することに。橘は「ツアー、あなたと一緒にたくさんのところを回れて嬉しかったです。花怜、あなたがいない世界に生きられる自信ないから、これからもずっと一緒にいてね。いぎなり東北産しか勝たん!」と、(大事なところを噛んだりもしたものの)可愛くあざとい告白を披露し、観客は一気にヒートアップ。そしてこの熱狂を引き継いで、会場一体になって盛り上がるみんな大好き「天下一品〜みちのく革命〜」に、スリリングで攻撃的なサウンドが全身を突き抜ける「いただきランチャー」のテッパン盛り上がりソングのコンビネーション。荒波のような観客からの大歓声とともに、会場はこれ以上ないほどの熱気に包まれるのだった。

なお本公演では、いぎなり東北産の今後の活動に関する情報解禁も行なわれた。ひとつは2023年8月9日に3rdミニアルバム『THE 東北産』のリリースが決定したこと。もうひとつは2023年12月29日にパシフィコ横浜 国立大ホールにて開催される、いぎなり東北産史上最大規模のワンマンライブのタイトルが、『いぎなり伝説への幕開け』に決まったこと。

『いぎなり東北産 2023年大一番ライブ 〜いぎなり伝説への幕開け〜』は、現在、いぎなり東北ファン倶楽部にてチケットの先行受付が開始されている。
https://madeintohoku.com/contents/641233

「3月から始まったツアーですが、なんと今日終わっちゃうよ! みんな、これからさ、伝説幕開けするのにさ、今日こんなんで帰れるの? 帰れるのって訊いてんだよー! ……人生はさ、短いんだよ。もうね、あっという間に終わっちゃうの。今が一番若くて、今この一秒の幸せ噛み締めてないとすぐ終わっちゃうの! だから、今日を伝説に! 明日も伝説に! 明後日も伝説に! こうやって伝説をいっぱい作って最高の人生しようぜー!」

本ツアーで恒例となっていた、きっと何かが崩壊しかかっているに違いない(もしくは何か大変なものが憑依したに違いない)テンションで橘花怜が曲振りを行なって、『全国絶対に負けないツアー』最終日はいよいよ本編ラストブロックへと突入する。「BUBBLE POPPIN」で安杜羽加がステージを転げ回りながら客席を煽ると、メンバーもオーディエンスも、橘の言葉どおり伝説を作るため、もしくは本ツアーに残された時間を悔いのないように全身全霊で楽しもうとする。さらに顔を上げて、笑顔を湛えての「feeling」で会場を多幸感でいっぱいにすると、続く「深夜特急」では、本ツアーの感謝と想いをひとりずつ口にする。その瞬間、天井近くに掲げられたツアーフラッグの下で、まもなくツアーが終了せんとするいぎなり東北産メンバーは、どこかしら勇ましく見えて、そして強さのようなものを感じさせた。

「『全国絶対に負けないツアー』、本当にありがとうございました。今日、いつも支えてくれるみんなに、こうやってLINE CUBEにたくさんの皆産(東北産ファンの呼称)がきてくれて、豪華なステージでライブをしている姿をみんなに見せられたのがすごく嬉しかったです。これからもたくさんの景色を見せていけるように、私たちは全力で頑張っていきます。それでは最後、みなさんに気持ちを込めて歌います。」

ツアー最終日、その本編を締めくくる1曲は、ツアータイトルにも組み込まれている「負けないうた」。「わざとあざとエキスパート」に続く新曲として発表されるやいなや、彼女たちのこれまでとこれからを綴ったかのようなリアルな言葉たちとメロディーが、ファンの間で「エモい」と話題になった楽曲だ。自分自身に絶対負けない。自分たちに降りかかってくるすべてのものに絶対に負けない。ここで、こんなところで負けるわけにはいかない。そんな彼女たちの決意は歌声へと姿を変えてオーディエンスの元へと届けられる。さらに間奏では、ステージの中央に9人が集まり、円陣を組んで気持ちをひとつに。そして、そこからは涙を振り切って、力の限り、声が続く限りの絶唱。

ツアーファイナルは、同時にこれから先へ向けてのスタートライン。いぎなり東北産はあらためて“絶対に負けない”という気持ちを胸に宿し、ステージからその先の未来を見つめていた。

本編終了後、客席からは割れんばかりのアンコールが即座に発生する。インターバルもそこそこに、会場には耳馴染みのない「NIWAKA」というフレーズがリズミカルに流れてくる。最初は困惑した観客だったものの、持ち前の柔軟性や適応力を発揮して調子を合わせると、そのままの流れでアンコールに突入。ロビーに展示されていた「負けないうた」衣装をまとっていたはずの空気人形を抱きかかえ、最終日に用意されていた初披露曲「NIWAKA」を歌いながらメンバーは客席へと降臨する。最後はやっぱりいぎなり東北産らしく、LINE CUBEに詰めかけた全員とお祭り騒ぎのような盛り上がりを生み出し、『全国絶対に負けないツアー』は幕を下ろしたのだった。

「みなさんの支えがなかったら、ここまで来れてなかったなと思います。そして今回、『絶対に負けないツアー』ということでしたが、“諦めない限り、挑戦は続く。負けない。”と思うんです。なので、これからもたくさんのことに挑戦して、つまずくことも悩むこともたくさんあると思うけど、みんなとなら、絶対に乗り越えられる。今回のツアーを通してそう強く思いました。これからもみんなと一緒にたくさんの景色を見にいけるように、私たちも全力で頑張っていきます。いつも応援してくれて本当にありがとう。今回のツアーもありがとうございました!」── 橘花怜(いぎなり東北産)


取材・文:Yosuke TSUJI


5月20日(土)『いぎなり東北産 全国絶対に負けないツアー』@LINE CUBE SHIBUYA
<東京公演2日目セットリスト>
M1 HANA
M2 Burnin' Heart
M3 スズメDANCE
M4 どっち?こっち?どうすっぺ!(福岡公演初披露)
MC1
M5 テキーナ
(吉瀬真珠ソロダンスコーナー)
M6 シャチョサン
(律月ひかるソロダンスコーナー)
M7 Action!
(安杜羽加ソロダンスコーナー)
M8 Fly Out
(藤谷美海ソロダンスコーナー)
M9 HiGHER,HiGHER!!
(橘花怜ソロダンスコーナー)
M10 メタハンマー
(桜ひなのソロダンスコーナー)
M11 I decided
(伊達花彩ソロダンスコーナー)
M12 Symphony
(葉月結菜ソロ→ALLダンスコーナー)
M13 Love is here
(北美梨寧ソロダンスコーナー)
M14 re;star
M15 いぎなり魔曲
M16 結び(東京1日目初披露)
MC2
M17 わざとあざとエキスパート(宮城公演初披露)
M18 青春修学旅行(曲間企画有り)
M19 天下一品〜みちのく革命〜
M20 いただきランチャー
MC3
M21 BUBBLE POPPIN
M22 Feeling
M23 深夜特急
M24 負けないうた(千葉公演初披露)

アンコール
M25 NIWAKA(東京公演2日目初披露)

 







『負けないうた』全国絶対に負けないツアー ファイナル ライブ映像